農業には多大なコストがかかるため、国の制度などを活用するのが効果的です。新規就農者からベテラン農家さんまで、農業に関わる方は、数多くある補助金を確認しておきましょう。
本記事では、農業従事者が受けられる補助金・助成金を目的別で解説します。
補助内容や条件などを見て、ご自身の目的に合ったものを探してみてくださいね。
※2023年3月1日より、人材確保・雇用における補助金制度について、募集が再開しています。
新規就農者が受けられる補助金・助成金
- 就農準備資金(準備型)・・・最大年間150万円を最長2年間受けられる助成金
- 経営開始資金(経営開始型)・・・最大年間150万円を最長3年間受けられる助成金
- 経営発展支援・・・最大1000万円の融資を無利子で受けられ、3/4を国と地方自治体に肩代わりしてもらえる制度
新規就農者が受けることのできる助成金は就農準備資金(準備型)と経営開始資金(経営開始型)、経営発展支援の3つがあります。
それぞれの詳細について、以下で解説していきます。
①就農準備資金(準備型)
準備型とは、これから農業を始める人の研修や就農後の生活を後押しするための助成金のことを指します。
対象 | 研修期間中の研修生 |
---|---|
支援額 | 12.5万円/月(150万円/年)×最長2年間 |
支援率 | 国100% |
主な要件 | ・就農予定時の年齢が49歳以下 ・独立・自営就農または雇用就農を目指す ・都道府県等が認めた研修機関等で概ね1年以上(1年につき概ね1,200時間以上)研修すること ・常勤の雇用契約を締結していない ・生活保護、求職者支援など国の他の助成金と重複受給していない ・前年の世帯所得が600万円以下 |
返還対象 | ・適切な研修を行っていない場合 ・研修終了後1年以内に49歳以下で独立・自営就農又は雇用就農しなかった場合 ・親元就農者について、就農後5年以内に経営継承しなかった場合 ・農業法人の共同経営者にならなかった場合又は独立・自営就農しなかった場合 ・独立・自営就農者又は親元就農者で5年以内に独立・自営就農する者について、就農後5年以内に認定農業者又は認定新規就農者にならなかった場合 |
②経営開始資金(経営開始型)
経営開始型とは、就農者が農業を始めてから経営が安定するまでの間を支援するための助成金のことを指します。
対象 | 認定新規就農者(前年の世帯所得が原則600万円未満) |
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支援額 | 12.5万円/月(150万円/年)×最長3年間 |
支援率 | 国100% |
主な要件 | ・就農予定時の年齢が49歳以下 ・独立・自営就農である ・生活保護、求職者支援など国の他の助成金と重複受給していない ・前年の世帯所得が600万円以下 |
返還対象 | 交付期間終了後、交付期間と同期間以上、営農を継続をしなかった場合 |
③経営発展支援
経営発展支援事業とは、就農後、経営発展のために無利子で融資を受けることができ、その返済資金を国と地方自治体が毎年肩代わりしてくれる制度のことを指します。
対象 | 認定新規就農者(就農から3年以内) |
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支援額 | 補助対象事業費上限1,000万円(機械・施設、家畜導入、果樹・茶改植、リース料等が対象)※②経営開始資金の交付対象者は上限500万円まで |
支援率 | 県支援分の2倍を国が支援( 国1/2、県1/4、本人1/4)償還スケジュールは10年均等 |
主な要件 | ・就農予定時の年齢が49歳以下 ・独立・自営就農である ・生活保護、求職者支援など国の他の助成金と重複受給していない ・本人負担分の経費について、融資機関から融資を受けること |
返還対象 | 年間150日かつ1200時間以上農作業をしていない |
設備投資・規模拡大に向けた補助金・助成金
農業を発展させるための設備投資・規模拡大に向けた補助金・助成金は、以下の5つがあります。
- 強い農業・担い手づくり総合支援交付金
- 農地耕作条件改善事業
- 産地生産基盤パワーアップ事業
- 荒廃農地等利活用促進交付金
- 農産物等輸出拡大施設整備事業
それぞれの詳細について、以下で解説します。
①強い農業・担い手づくり総合支援交付金
強い農業・担い手づくり総合支援交付金とは、地域の農業を強化したり、担い手となる人の経営を支援するための交付金のことを指します。
この制度には以下の2つのパターンがあります。
- 先進的農業経営確立支援タイプ・・・事業の規模拡大を通じて農業経営体と地域の相乗発展を目指す事業体に対しておこなうもの
- 地域担い手育成支援タイプ・・・地域農業の担い手に対して経営支援をおこなうもの
先進的農業経営確立支援タイプ
事業名 | 融資主体型補助事業 |
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対象 | ・農地プランに位置付けられた中心経営体 ・農地中間管理機構から賃借権の設定等を受けた者 |
補助率 | 事業費の10分の3以内補助上限額:個人1000万円、法人1500万円 |
主な要件 | ・高い目標を持ち農業の担い手として取り組む ・地域との相乗的な発展を目指す取り組みを行う |
地域担い手育成支援タイプ
地域担い手育成支援タイプには、融資の補助と条件不利地に対する補助の2種類があります。
事業名 | 融資主体型補助事業 | 条件不利地域型補助事業 |
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対象 | ・農地プランに位置付けられた中心経営体 ・農地中間管理機構から賃借権の設定等を受けた者 |
経営規模が小規模・零細な地域において意欲ある経営体 |
補助率 | 事業費の10分の3以内補助上限額:300万円 | 事業費の2分の1以内 |
主な要件 | ・高い目標を持ち農業の担い手として取り組む ・地域との相乗的な発展を目指す取り組みを行う |
高い目標を持ち農業の担い手として取り組む |
②農地耕作条件改善事業
農地耕作条件改善事業とは、農業環境の整備を支援するための事業のことを指します。条件などが厳しく、地域の自治体やJAに確認することが重要です。
この制度には以下の7つのパターンがあります。
- 地域内農地集積型・・・きめ細かな耕作条件の改善支援
- 高収益作物転換型・・高収益作物への転換に向けた計画策定から営農定着までをを支援
- 未来型産地形成推進条件整備型・・・省力技術・作業機械等を面的に導入し、労働生産性を抜本的に高めたモデル産地を形成する取組を支援
- スマート農業導入推進型・・・基盤整備と一体的に行うスマート農業の導入支援
- 病害虫対策型・・・病害虫の発生予防に資する土層改良や排水対策等の支援
- 水田貯留機能向上型・・・「田んぼダム」の実施に必要な基盤整備の支援
- 土地利用調整型・・・多様で持続的かつ計画的な農地利用の実現に向けて、ゾーニングに必要な交換分合や基盤整備の支援
事業名 | 地域内農地集積型 | 高収益作物転換型 |
---|---|---|
対象 | 農地中間管理機構の重点実施区域 | 農地中間管理機構の重点実施区域 |
補助内容 | 事業・プランにより異なる | |
主な要件 | ・事業費が200万円以上 ・事業者2戸以上 |
・事業費が200万円以上 ・事業者2戸以上 |
事業名 | 未来型産地形成推進条件整備型 | スマート農業導入推進型 |
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対象 | 農地中間管理機構の重点実施区域 | ・農地中間管理機構の重点実施区域 ・スマート農業に適した基盤が整備された、もしくは整備される見込みの農地 |
補助内容 | 事業・プランにより異なる | |
主な要件 | 面積が規定以上 | ・事業費が200万円以上 ・事業者2戸以上 |
事業名 | 病害虫対策型 | 水田貯留機能向上型 | 土地利用調整型 |
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対象 | 病害虫の警報・注意報・特殊報が発表された区域 | 流域治水プロジェクト、治水協定等防災に係る取組が策定されている地域 | 農地中間管理機構の重点実施区域 |
補助内容 | 事業・プランにより異なる | ||
主な要件 | ・地区内の5割以上の面積での「田んぼダム」の実施 ・水田貯留機能向上計画の策定 |
③産地生産基盤パワーアップ事業
産地生産基盤パワーアップ事業とは、高性能な機械や施設の導入などを総合的に支援するための事業を指します。
この制度には以下の3つのパターンがあります。
- 新市場獲得対策・・・産地ごとの生産出荷体制の強化・園芸作物の導入支援
- 収益性向上対策・・・計画の実現に必要な農業機械・集出荷設備の導入支援
- 生産基盤強化対策・・・生産基盤を次世代に円滑に引き継ぐための再整備
事業名 | 新市場獲得対策 | 収益性向上対策 | 生産基盤強化対策 |
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対象 | ・協働事業計画に位置付けられた拠点事業者 ・連携社が事業実施主体 | ||
補助内容 | ・推進事業:定額または2分の1以内(上限5000万円) ・整備事業:2分の1以内(上限20億円) | 原則2分の1以内 | ・整備事業:2分の1 ・基金事業:定額補助 |
主な要件 | ・成果目標を定める ・費用対効果分析を実施しており、1.0以上である |
・成果目標を定める ・面積要件を満たす |
・成果目標を定める ・要件を満たす計画を立てている |
④荒廃農地等利活用促進交付金
荒廃農地等利活用促進交付金とは、荒廃した農地で農業を行う者や、荒廃農地の再生事業を行う組織を支援する制度を指します。
対象 | 人・農地プランの中心経営体などに位置付けられた農業者や組織 |
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支援額 | 事業による(面積、定額、2分の1以内、55%など) |
主な要件 | ・遊休農地に該当する ・総事業費が1件あたり200万円未満 ・新規就農者:再生された農地で5年以上耕作に従事すること |
⑤農産物等輸出拡大施設整備事業
農産物等輸出拡大施設整備事業とは、国産作物の輸出拡大に向けた施設や環境の整備を支援する制度のことを指します。
対象 | GFP会員 |
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支援額 | 事業費の2分の1以内 |
主な要件 | ・農業に常時従事する人が5名以上 ・基準を満たした成果目標の設定 ・面積要件・総事業費要件を満たしている ・費用対効果分析を実施済み ・輸出事業計画を策定済み、または策定予定 |
人材確保・人材育成に向けた補助金・助成金
雇用就農者の確保・育成を推進するために2022年から始まった「雇用就農資金」は、49歳以下の新規就農者を雇用し、農業従事者として育成する農業法人等に対して資金を助成するというものです。
令和3年度まで実施されていた「農の雇用事業」の後継事業に当たります。雇用就農資金では助成期間が最長2年から4年に延長され、一度にもてる研修生の人数制限も撤廃されたことから、ぜひ取り入れたい補助金の一つとなっています。
また、雇用就農資金には、「雇用就農者育成・独立支援タイプ」「新法人設立支援タイプ」「次世代経営者育成タイプ」の3つのタイプがあります。
事業名 | 雇用就農者育成・独立支援タイプ | 新法人設立支援タイプ | 次世代経営者育成タイプ |
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対象 | 新規就農者を雇用する農業法人等 | 独立就農を目指す新規就農者を一定期間雇用する農業法人等 | 国内外の先進的な農業法人や異業種の法人に職員を派遣する農業法人等 |
補助内容 | 支援額:年間最大60万円 支援期間:最長4年間 |
支援額:年間最大120万円(3年目以降は年間最大60万円) 支援期間:最長4年間 |
支援額:月最大10万円 支援期間:最短3ヶ月~最長2年間 |
主な要件 | 新規就農者 ・50歳未満 ・農業就業期間が5年以内 |
新規就農者 ・50歳未満 ・農業就業期間が5年以内 ・支援終了後1年以内に新たな農業法人を設立して独立する強い意欲を有する |
派遣職員 ・派遣元農業法人等の役員若しくは正社員(代表者を除く)又は家族経営の後継者で既に就農し経営に参画している ・55歳未満 |
※2023年度の募集は4月4日までとなっているため、早めの検討・対応をおすすめします。
引用:農林水産省「雇用就農資金」
その他の補助金・助成金
日本において、幅広い業種業態の事業主が活用できる補助金も存在します。農業でも活用できる制度として、以下の4つがあります。
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 地域雇用開発助成金
①ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、以下の3つのタイプに分類されます。
農業を含む幅広い業種において申請が可能ですが、申請は電子申請システムでの受け付けのみで、必要書類が多いため、あらかじめ注意が必要です。
分類 | 一般型 | グローバル展開型 | ビジネスモデル構築型 |
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補助金額 | 事業規模によって上限が異なる 補助率:3分の2以内 | 1000~3000万円 | 100万〜1億円 補助率:大企業の場合は2分の1、それ以外は3分の2以内 |
主な要件 | 要件を満たす事業計画を策定する | ・要件を満たす事業計画を策定する ・4種類のうちいずれかの類型における条件を満たす投資 | 革新性・拡張性・持続性を有するビジネスモデルの構築を目指す中小企業 |
②IT導入補助金
IT導入補助金とは、事業の業務効率化や売上アップのために、中小企業におけるITツールの導入を補助するための制度のことを指します。
この制度は「通常枠」と「低感染リスクビジネス枠」の2種類があり、さらに細かく分類されています。
通常枠
分類 | A類型 | B類型 |
---|---|---|
補助金額 | 30〜150万円未満、補助率:2分の1以内 | 150〜450万円以下、補助率:2分の1以内 |
主な要件 | ・類型ごとのプロセス要件を満たす ・労働生産性の向上を目的としたITツールの導入 |
低感染リスクビジネス枠
分類 | C類型-1 | C類型-1 | D類型 |
---|---|---|---|
補助金額 | 30〜300万円未満補助率:3分の2以内 | 300〜450万円以下補助率:3分の2以内 | 30〜150万円以下補助率:3分の2以内 |
主な要件 | 通常枠の要件に加え、複数プロセスの非対面化や効率向上を可能とするITツールの導入 | 通常枠の要件に加え、テレワーク環境の整備、複数プロセスの日対面化を可能とするITツールの導入 |
③小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が、働き方改革やインボイス制度などの制度に柔軟に対応するために支払われる補助金のことを指します。
補助金額 | 上限50万円補助率:3分の2 |
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主な要件 | ・資本金または出資金が5億円を超える企業の支配を受けていない ・申告済み直近過去3年分の課税所得の平均が15億円以下 ・事業を営む場所が商工会議所の管轄地域内 |
④地域雇用開発助成金
地域雇用開発助成金とは、雇用の機会が少ない地域の雇い入れ促進や、体制整備などの支援を目的とした助成金のことを指します。
補助金額 | 設備費用・従業員の増加人数による 48~1600万円 |
---|---|
主な要件 | ・雇用情勢の厳しい地域である ・事前に計画書を提出する ・対象労働者を3名(創業の場合は2人)以上雇い入れる |
まとめ
この記事では、農業従事者が受けられる補助金・助成金を目的別で解説しました。
新規就農から規模拡大、人材確保(現在停止中)など、活用できる補助金・助成金はたくさんあります。
上記でご紹介した内容を確認してみてくださいね。
また、条件や申請方法などを確認するためにも、各地方自治体やJA等に相談してみることをおすすめします。
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