トマトの天敵である害虫のことをよく知り、対策や処置を万全にしておきましょう。特に、夏秋トマトの栽培時期は温暖・湿潤な気候のため、多くの病害虫の活動が活発になります。
害虫に悩まされてもう手遅れに……。こんなことを未然に防ぐためにも、この記事では夏秋のトマトに発生しやすい害虫の発生確認ポイントと防除対策を表形式で紹介します。
トマトの害虫および有効薬剤
オオタバコガ
特徴 | おすすめの薬剤 |
・若齢幼虫が新芽の先端や花蕾・葉を食害し、葉に丸い小さな穴があく ・中老齢幼虫が茎や果実の内部に食入、穴から糞を出す ・食入部分から上の生育が抑制され、折れ曲がることも ・食入した穴のある果実や茎の内部に中老齢幼虫がいる ・主に秋に発生 | ・スピノエース顆粒水和剤 ・アファーム乳剤 ・コテツフロアブル ・カスケード乳剤 ・マトリックフロアブル ・トルネードエースDF ・プレバソンフロアブル5 ・グレーシア乳剤 天敵・生物農薬 ・BT剤(エスマルクDFほか) |
特徴
- 若齢幼虫が新芽の先端や花蕾・葉を食害し、葉に丸い小さな穴があく
- 中老齢幼虫が茎や果実の内部に食入、穴から糞を出す
- 食入部分から上の生育が抑制され、折れ曲がることも
- 食入した穴のある果実や茎の内部に中老齢幼虫がいる
- 主に秋に発生
おすすめの薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
- アファーム乳剤
- コテツフロアブル
- カスケード乳剤
- マトリックフロアブル
- トルネードエースDF
- プレバソンフロアブル5
- グレーシア乳剤
天敵・生物農薬
- BT剤(エスマルクDFほか)
ハスモンヨトウ
特徴 | おすすめの薬剤 |
・卵は葉裏などに集団で産み付けられ、雌成虫が付けたクリーム色の鱗毛で覆われる ・ふ化幼虫は葉の表皮を残して集団で食害し、葉は白変 ・果実の表面を食害して丸い穴(窪み)を作る ・オオタバコガのように果実の内部まで潜り込まない ・若齢幼虫は集団で食害し、3齢幼虫以降に分散 ・老齢幼虫は昼間に土中に潜り、夜間に地上部に上がってくるので見つけにくい ・主に秋に発生 | ・ディアナSC ・アニキ乳剤 ・ノーモルト乳剤 ・ファルコンフロアブル ・アクセルフロアブル ・フェニックス顆粒水和剤 ・グレーシア乳剤 天敵・生物農薬 ・BT剤(バシレックス水和剤ほか) |
特徴
- 卵は葉裏などに集団で産み付けられ、雌成虫が付けたクリーム色の鱗毛で覆われる
- ふ化幼虫は葉の表皮を残して集団で食害し、葉は白変
- 果実の表面を食害して丸い穴(窪み)を作る
- オオタバコガのように果実の内部まで潜り込まない
- 若齢幼虫は集団で食害し、3齢幼虫以降に分散
- 老齢幼虫は昼間に土中に潜り、夜間に地上部に上がってくるので見つけにくい
- 主に秋に発生
おすすめの薬剤
- ディアナSC
- アニキ乳剤
- ノーモルト乳剤
- ファルコンフロアブル
- アクセルフロアブル
- フェニックス顆粒水和剤
- グレーシア乳剤
天敵・生物農薬
- BT剤(バシレックス水和剤ほか)
タバココナジラミ、オンシツコナジラミ
特徴 | おすすめの薬剤 |
・幼虫は甘露を排せつし、葉の表面をベタベタにする ・甘露が多いとすす病が発生し、すすに覆われた部分は着色不良になる ・寄生している葉に触れると成虫が飛び立つ ・タバココナジラミの成虫は薄い黄白色、オンシツコナジラミは純白色でやや大きい ・タバココナジラミは重要病害の黄化葉巻病(YLCV)や黄化病(ToCV)を媒介 ・黄色粘着トラップで成虫を誘殺し、施設内への侵入や施設内での増殖の目 安にする | ・トランスフォームフロアブル ・ディアナ SC ・コロマイト乳剤 ・チェス顆粒水和剤 ・コルト顆粒水和剤 ・マッチ乳剤 ・アプロードエースフロアブル ・クリアザールフロアブル ・ファイン セーブフロアブル ・ベミデタッチ ・フーモン ・ムシラップ ・サンクリスタル乳剤 ・サフオイル乳剤 ・粘着くん液剤 天敵・生物農薬 ・バコトップ ・エンストリップ ・エルカード ・ゴッツA ・マイコタール ・プリファード水和剤 ・ボタニガードES |
特徴
- 幼虫は甘露を排せつし、葉の表面をベタベタにする
- 甘露が多いとすす病が発生し、すすに覆われた部分は着色不良になる
- 寄生している葉に触れると成虫が飛び立つ
- タバココナジラミの成虫は薄い黄白色、オンシツコナジラミは純白色でやや大きい
- タバココナジラミは重要病害の黄化葉巻病(YLCV)や黄化病(ToCV)を媒介
- 黄色粘着トラップで成虫を誘殺し、施設内への侵入や施設内での増殖の目 安にする
おすすめの薬剤
- トランスフォームフロアブル
- ディアナ SC
- コロマイト乳剤
- チェス顆粒水和剤
- コルト顆粒水和剤
- マッチ乳剤
- アプロードエースフロアブル
- クリアザールフロアブル
- ファイン セーブフロアブル
- ベミデタッチ
- フーモン
- ムシラップ
- サンクリスタル乳剤
- サフオイル乳剤
- 粘着くん液剤
天敵・生物農薬
- バコトップ
- エンストリップ
- エルカード
- ゴッツA
- マイコタール
- プリファード水和剤
- ボタニガードES
チューリップヒゲナガアブラムシ、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ
特徴 | おすすめの薬剤 |
・チューリップヒゲナガアブラムシやモモアカアブラムシは新芽や茎に集団で寄生 ・ワタアブラムシは葉裏に寄生 ・吸汁された葉は緑色が薄くなり、萎縮する ・排せつした甘露によってすす病が発生 ・すすに覆われた部分は着色不良になる ・モモアカアブラムシの体色は緑黄色もしくは赤褐色 ・ワタアブラムシは黒褐色 が多い ・チューリップヒゲナガアブラムシは緑黄色でモモアカアブラムシよりも体型が細長で触角や脚が長い ・黄色粘着トラップで有翅成虫を誘殺し、侵入や増殖の目安にする | ・トランスフォームフロアブル ・チェス顆粒水和剤 ・コルト顆粒水和剤 ・モベントフロアブル ・ウララDF ・フーモン ・ムシラップ ・アーリーセーフ ・粘着くん液剤 ・エコピタ液剤 天敵・生物農薬 ・アフィパール ・チャバラ ・テントップ ・カメノコ ・ゴッツA ・ボタニガードES |
特徴
- チューリップヒゲナガアブラムシやモモアカアブラムシは新芽や茎に集団で寄生
- ワタアブラムシは葉裏に寄生
- 吸汁された葉は緑色が薄くなり、萎縮する
- 排せつした甘露によってすす病が発生
- すすに覆われた部分は着色不良になる
- モモアカアブラムシの体色は緑黄色もしくは赤褐色
- ワタアブラムシは黒褐色が多い
- チューリップヒゲナガアブラムシは緑黄色でモモアカアブラムシよりも体型が細長で触角や脚が長い
- 黄色粘着トラップで有翅成虫を誘殺し、侵入や増殖の目安にする
おすすめの薬剤
- トランスフォームフロアブル
- チェス顆粒水和剤
- コルト顆粒水和剤
- モベントフロアブル
- ウララDF
- フーモン
- ムシラップ
- アーリーセーフ
- 粘着くん液剤
- エコピタ液剤
天敵・生物農薬
- アフィパール
- チャバラ
- テントップ
- カメノコ
- ゴッツA
- ボタニガードES
トマトハモグリバエ、マメハモグリバエ、ナスハモグリバエ
特徴 | おすすめの薬剤 |
・成虫が産卵管を挿して産卵や葉液の摂取を行うため、葉に多数の白い斑点が残る ・ふ化幼虫は葉肉を食べながら葉の中を潜孔し不規則な線状痕を作る ・幼虫の食害が進むと表皮だけが残り、葉全体が白変 ・幼虫は体色が黄色で潜孔の先端で見つかる ・トマトハモグリバエとマメハモグリバエは、葉から落下して土壌表層やマルチ上で蛹(さなぎ)になる ・ナスハモグリバエは、葉裏に付着したまま蛹になる ・大きさが2mm程度、体の大部分が黄色で、頭、胸、脚の一部が黒色 ・成虫の肉眼での識別は困難 ・黄色粘着トラップで成虫を誘殺し、侵入や増殖の目安にする | ・スピノエース顆粒水和剤 ・アファーム乳剤 ・カウンター乳剤 ・トリガード液剤 ・プレバソンフロアブル5 ・プレオフロアブル 天敵・生物農薬 ・ミドリヒメ |
特徴
- 成虫が産卵管を挿して産卵や葉液の摂取を行うため、葉に多数の白い斑点が残る
- ふ化幼虫は葉肉を食べながら葉の中を潜孔し不規則な線状痕を作る
- 幼虫の食害が進むと表皮だけが残り、葉全体が白変
- 幼虫は体色が黄色で潜孔の先端で見つかる
- トマトハモグリバエとマメハモグリバエは、葉から落下して土壌表層やマルチ上で蛹(さなぎ)になる
- ナスハモグリバエは、葉裏に付着したまま蛹になる
- 大きさが2mm程度、体の大部分が黄色で、頭、胸、脚の一部が黒色
- 成虫の肉眼での識別は困難
- 黄色粘着トラップで成虫を誘殺し、侵入や増殖の目安にする
おすすめの薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
- アファーム乳剤
- カウンター乳剤
- トリガード液剤
- プレバソンフロアブル5
- プレオフロアブル
天敵・生物農薬
- ミドリヒメ
ミカンキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマ
特徴 | おすすめの薬剤 |
・花の中に好んで生息する成虫が花の子房に産卵すると、果実肥大後に産卵痕が白ぶくれとなる ・白いバットの上で花や葉をたたき、落下する成幼虫を観察する ・ミカンキイロアザミウマとヒラズハナアザミウマは識別が難しい ・両種とも黄化えそ病(TSWV)を媒介 ・黄色粘着トラップや青色粘着トラップで成虫を誘殺し、侵入や増殖の目安にする | ・ディアナSC ・アニキ乳剤 ・コテツフロアブル ・カウンター乳剤 ・モベントフロアブル ・ウララDF ・グレーシア乳剤 ・ファインセーブフロアブル ・ジャスモメート液剤 天敵・生物農薬 ・ボタニガードES |
特徴
- 花の中に好んで生息する成虫が花の子房に産卵すると、果実肥大後に産卵痕が白ぶくれとなる
- 白いバットの上で花や葉をたたき、落下する成幼虫を観察する
- ミカンキイロアザミウマとヒラズハナアザミウマは識別が難しい
- 両種とも黄化えそ病(TSWV)を媒介
- 黄色粘着トラップや青色粘着トラップで成虫を誘殺し、侵入や増殖の目安にする
おすすめの薬剤
- ディアナSC
- アニキ乳剤
- コテツフロアブル
- カウンター乳剤
- モベントフロアブル
- ウララDF
- グレーシア乳剤
- ファインセーブフロ
- アブル
- ジャスモメート液剤
天敵・生物農薬
- ボタニガードES
トマトサビダニ
特徴 | おすすめの薬剤 |
・新芽付近や葉柄の褐変から症状が現れる ・葉裏の加害部は光沢を帯びた褐色に、葉全体も黄褐色になり裏側に向かってそり返る ・加害された茎は褐変する ・果実表面が褐変硬化して肥大が停止 ・黄褐色でクサビ型の体型、体長0.2mm程度ときわめて小さい ・夏から秋の乾燥した時期に被害が出やすい | ・コロマイト乳剤 ・コテツフロアブル ・カスケード乳剤 ・マイトコーネフロアブル ・ダニトロンフロアブル ・クリアザールフロアブル ・グレーシア乳剤 ・ファインセーブフロアブル ・サンクリスタル乳剤 ・サフオイル乳剤 |
特徴
- 新芽付近や葉柄の褐変から症状が現れる
- 葉裏の加害部は光沢を帯びた褐色に、葉全体も黄褐色になり裏側に向かってそり返る
- 加害された茎は褐変する
- 果実表面が褐変硬化して肥大が停止
- 黄褐色でクサビ型の体型、体長0.2mm程度ときわめて小さい
- 夏から秋の乾燥した時期に被害が出やすい
おすすめの薬剤
- コロマイト乳剤
- コテツフロアブル
- カスケード乳剤
- マイトコーネフロアブル
- ダニトロンフロアブル
- クリアザールフロアブル
- グレーシア乳剤
- ファインセーブフロアブル
- サンクリスタル乳剤
- サフオイル乳剤
品質の良いトマトが作れたら「包装」を工夫しましょう
「害虫もいないし、おいしいトマトができそうだ!」という方は、ぜひ今一度、包装パッケージのデザインを見直してみてほしいと思います。
なぜなら、「売れない野菜」と「売れる野菜」には、パッケージデザインの面で大きな差があるからです。
- 農家の似顔絵が入っている
- 育て方のこだわりが袋の表面に長い文章で書かれている
- 自分で考えたロゴが目立っている
- やたらにカラフル
みなさんのお手元にある野菜の包装パッケージに、このような特徴が当てはまっていませんか?
もし一つでも心当たりがあるなら、改良の余地があるかもしれません。改良の余地があるということは、まだまだ売り上げが伸びる可能性があるということです。
購入の決め手である「野菜の鮮度」をうまく伝えるためには、無駄な情報は排除し、色を工夫してみることから始めてみましょう。
数あるトマトの中から自分の物を手にとってもらうためにも、良いモノを良いモノだと見せる工夫が求められているのです。
まずは一度、お住まいを問わず、第一包装資材にお問い合わせください。お話を伺うだけでもかまいません。豊富な経験と知見を活かして、様々な視点からアドバイスをいたします。