商品の顔ともなる包装パッケージ。どんなパッケージにするのかによって、商品のイメージは大きく変わり、売上も著しく上下します。
商品を買うときの「決め手」の基準は、人によってさまざまに異なりますが、店頭に似たような商品が並んでいた場合、パッケージの良さで選ぶという人も多いはずです。
そこで本記事では、パッケージをリニューアルするときのポイントを解説します。リニューアルをして成功した事例、失敗した事例を見て、売上とデザインの関係についても確認していきましょう。
ブランド力の維持のためにもパッケージリニューアルは必要
なぜパッケージデザインをリニューアルする必要があるのでしょうか?
ブランドの鮮度を維持し、長期にわたって売れ続けるブランドとして強化していくためです。
物で溢れる現代では、新商品が次から次へと出てきます。このような変化の激しい市場の中で、自社のポジションを一定に保つのは容易ではありません。
良い商品、売れる商品というのはすぐに競合にマネされてしまいます。自社の商品を守り、ブランドのポジションを維持するためにも、パッケージデザインのリニューアルは欠かせません。
ポジションを維持し、売上を伸ばすための「パッケージリニューアル」における考え方やポイントを、次で確認していきましょう。
パッケージのリニューアル時の3つのポイント
- ブランドのポジションを変える必要があるのか決める
- 正しいリニューアルのタイミングを把握する
- デザインで変えてはいけない部分を特定する
ブランドのポジション変える必要があるのか決める
パッケージデザインを大きく変更するべきか、小さく変更するべきかは、ブランドのポジション変更が必要かどうかで決めましょう。
ブランドには必ず、ブランド独自のポジションがあります。
ブランドのポジションの例
- ユニクロ・・・安くて機能的
- スターバックス・・・くつろげておしゃれな「第三の空間」
このブランドのポジションを維持するためには、パッケージデザインを少しずつリニューアルし、定期的に自社のポジションを調整することが基本となります。
なぜなら、企業側がポジションを変えなくても、新しい商品が出たりデザインが古くなったりして、お客さんから見ると日々刻々とポジションは変わっているためです。
一方、売上が大きく下がってきたり、新規の顧客を狙う場合にはターゲットの見直しなども必要です。
このような場合、リスクは伴いますが大幅なデザインリニューアルが求められます。
例えば、巨大な競合が出てきてしまい、今のポジションでは勝ち目がないような場合には、ポジションを競合に譲り、自分は新しいポジションで勝負するという方法です。
ロングセラーブランドの中にはこういった戦略をとることで厳しい生存競争に勝ち残っているブランドも数多く存在します。
正しいリニューアルのタイミングを把握する
パッケージのリニューアルには必ず、理想的なタイミングがあります。それは、お客さんから見て、改善を続けている商品だと感じてもらえるような「目新しさをキープできる」タイミングです。
ポイントは、古くなってからでは遅いということです。もしデザインが古くなってしまえば、企業の競争原理が働き、競合の商品に埋もれていってしまいます。
お客さんに古くなったものは出さない。そういった心がけで、改善を続けていきましょう。
リニューアルの時期で参考になるのは競合のリニューアル頻度です。カテゴリーにもよりますが、飲料品などは頻繁にリニューアルをし、鮮度をアピールしています。
デザインで変えてはいけない部分を特定する
パッケージデザインのゴールは、オリジナルのシンボルを作り、世界中でそのシンボルが商品のブランドと結びついていることです。
そしてそのためには、パッケージデザインの中のアイデンティティとなる部分を維持・強化する必要があります。
色、形、ロゴ、イラスト、キャッチコピーなど、デザインのアイデンティティはそれぞれ異なります。自社の商品パッケージのアイデンティティを正確に把握し、変えてもいい部分、変えてはいけない部分を定めてからデザイン制作に取り掛かりましょう。
ブランドアイデンティティの例
リニューアルデザイン案の評価項目
- 狙ったポジションを獲得できそうか
- 特定のイメージが改善されているか
- 今のお客さんが気に入ってくれるか
狙ったポジションを獲得できそうか
競合や過去のデザインと比較し、従来のポジションと現代のトレンドに適した形でデザインできてるかを確認します。
特定のイメージが改善されているか
商品のカテゴリーのイメージに適しているデザインであるかを評価します。例えば食品であれば美味しそうで食べたいと思えるか、洗剤であれば機能性が高く、安全そうかということです。
今のお客さんが気に入ってくれるか
現在のお客さんが気に入ってくれるかどうかは真剣に吟味しなければなりません。デザインをリニューアルした結果、「これは私の大好きなあの商品ではない」と認識されてしまえば、既存のお客さんは離れていってしまいます。
パッケージリニューアルは斬新さやデザイン性だけではなく、受け入れやすいか考えながら進めていきましょう。
パッケージリニューアルの成功事例
ここでは、パッケージリニューアルの成功事例をご紹介します。実例から学び、デザイン変更時のポイントを確認していきましょう。
- 日清食品『カップヌードル』
- 明治『THE・Chocolate』
- KIRIN『生茶』
①日清食品『カップヌードル』
市場で勝ち抜き、オンリーワンのデザインとして定着している例です。リニューアルでのデザインの変更幅が極めて少なく、変更点はロゴの文字の「L」を見やすくしたという一点だけだそう。
パッケージデザインを手がけたのは、大阪万博のシンボルをデザインしたことで知られる大高猛氏。現在のロゴをみても古びた印象を受けないのがすごいですよね。
②明治「THE Chocolate」
パッケージリニューアルによって、ブランドポジションが大きく変更された例です。明治はこだわりの良質カカオを使った高級チョコレートを開発し、2014年より発売していました。
品質は素晴らしかったものの、パッケージのカカオ感はあまり伝わらず、「少し高いチョコレート」と認識されていました。
発売してから1年、リニューアルチームは新しいデザインの目標として「大人の嗜好品としてのチョコレート」と認知してもらえることを掲げ、リニューアルを進めました。
結果として、売上は大幅アップ。クラフト調の見た目がかわいいとSNSでも話題となり、明治の主力商品の仲間入りを果たしました。
パッケージはシンプルで手作り感がありますね。情緒感がありますし、見ていて楽しいパッケージですよね。
③KIRIN『生茶』
少しずつポジション・デザインを変えながら、時代に合わせて進化させていった例です。
KIRINは商品とパッケージのリニューアルを繰り返しながら、市場の緑茶ブームを牽引、今ある緑茶の文化を作ってきました。
しかし、時代と共に「生茶」に対するイメージも変化。2016年にはフルリニューアルを実施し、
「あっさりとした水出しの緑茶→濃くて嗜好品のような緑茶」
と「生茶」の立ち位置を大きく変化させることで、見事に復活を果たしました。
形や色での差別化が難しい食品や飲料は、パッケージでの差別化によって商品イメージを印象付けることが欠かせません。
パッケージリニューアルの失敗事例
アメリカ生まれのオレンジジュース「Tropicana(トロピカーナ)」はリニューアルに失敗し、リニューアル前に比べて売上が20%(約25億円)ダウンしたと言われています。
過去のロゴは横に表記されていて読みやすく、オレンジの果実が象徴的でした。一方で、新デザインのロゴは縦の表記で認識しづらく、オレンジの果実感が伝わりにくい印象です。
スタイリッシュさはあるものの、商品のアイデンティティを大きく損ねてしまったことが、失敗の要因であると考えられます。
結果として新デザインは30日後には取り止め、すぐに元のデザインに戻りました。
まとめ
この記事では、パッケージをリニューアルするときのポイントを事例を交えて解説しました。商品のポジションを維持・強化していくためにも、パッケージリニューアルは常に念頭におき、改善案を検討されてみてくださいね。
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